【深化する関西の建設ICT⑩】矢作建設工業 「本質的なBIM活用」が合言葉
矢作建設工業は年間4、5件の設計・施工一括プロジェクトでBIMを導入している。各部門から選抜されたBIMプロジェクトチームが先導し、成功事例を積み上げている。設計BIM担当の坪井仁志係長は「社内全体に普及するフェーズに差し掛かりつつある」と手応えを口にする。2021年度には導入件数を拡大する方針だ。
BIM導入に踏み切った14年当初は活用が思うように進まず、17年にBIMとの向き合い方を改めた。きっかけは当時、大手建設会社でBIMの推進役を担っていた現在ブート・ワンのテクニカルディレクターを務める高取昭浩氏の助言だった。当時の同社は2次元設計に合わせて導入していたが、高取氏からBIMを前提にやり方を変えるべきと説明され、方向転換した。「BIMに適した図面表現を突き詰め、標準化を進めてきた」とこれまでの歩みを振り返る。
現在の社内では、BIMソフト『Revit』を使いこなす中で「本質的なBIM活用」を合言葉にBIM導入を進めている。中途半端な取り組みは、かえって生産効率を下げる。設計初期から一貫してBIMを利活用することで各段階の生産効率は最大化する。
ブート・ワンの導入効果は各部門で見られる。構造設計部門の籠橋英仲課長は「モデルから断面リストをワンクリックで出力できるなど、これまで時間をとられていた図化作業が大幅に軽減され、構造計画に時間を費やすことができるようになった」と説明。施工部門の伊藤篤之工務部長は近く発売される施工系パッケージを心待ちにしており、「既にわれわれの要望も伝えている。これを機に積極的に現場導入を図り、生産性向上へとつなげていきたい」と強調する。
ほかの記事はこちらから
【B・C・I 未来図】2021年以前の記事はこちらから
建設通信新聞電子版購読をご希望の方はこちら